1.第2学区公立高校入試(一般)概況

兵庫県の公立第2学区が成立して、今年で5年目を迎えます。学区成立当初は川西市内では目立った動きはありませんでしたが、ここ3年で生徒の移動が激しくなり、高校の難易度も相当変化しています。

一言でいえば、西宮、尼崎、伊丹などの、交通の便や立地の良い高校の倍率・難度が上昇しています。川西市内からそれらの地区に流出する生徒の数も少しずつ増えてきました。以下、高校ごとに状況を分析していきます。

まず、第2学区では、市立西宮高校がトップ校としての位置を確実にしつつあります。模試偏差値や大学合格実績でもここ数年、抜きん出ており、とくに難関大合格実績では、神戸高校、長田高校、姫路西高校などに次ぎ、兵庫県内でもトップ5に入っています。  次に難度の上昇が目立つのが、尼崎稲園高校です。単位制を導入し、自由に履修科目を組めるという点で人気を集めています。また、数理甲子園で勝利したり、堅調な合格実績を残したりするなど、勉学面でも評判が高まっています。  川西市内の緑台高校、北陵高校は、いずれも激しい易化傾向にあります。第2学区誕生とともにまず北陵高校の難度・大学入試合格実績が著しく下がりました。ここ3年では緑台高校も、難度・合格実績いずれも下がっており、2年連続で定員割れ(2017年度は4名、2018年度は31名)を起こしています。緑台高校の上位層はここ3年で年々薄くなってきており(清啓塾の緑台高校生の全国模試成績を参考に、学力分布などを分析した結果による)、定員割れを起こしているため、下位の学力レベルが相当下がっています。とくに2018年度は顕著で、上位層は尼崎稲園などに流出しているものと思われます。

その一方で、倍率が大幅に上昇しているのが、県立伊丹高校です。国公立大学合格者数の大幅増加、進学校化をめざす学校の方針、第2学区の比較的中心に位置することなどから、志願者が増えていると思われます。尼崎稲園・宝塚北などのひとつ下のランクにあたるので、超上位層(京大・阪大に合格できる生徒)は少なく、全体的な偏差値の上昇にまではいたっていませんが、高倍率であるため、学力層の底上げが進んでいます。

宝塚北高校・北摂三田高校などは、市内のトップとしての地位を保っています。三田の場合は、距離的にも、他市への移動がほとんど見られません。宝塚からは、市立西宮などに上位層が抜ける傾向もあり、宝塚北普通科はやや易化傾向です。

2.公立推薦入試概況

市立西宮高校グローバルサイエンス科、宝塚北高校グローバルサイエンス科が2強状態です。市立西宮GSは受験者の偏差値ランクだけでいえば、大教大附属池田以上、宝塚北高校は池附と同等です。募集人員は40名であり、ハイレベルな戦いになります。ただし、内申点も考慮されるため、学力一本勝負ではありません。そのためか、実力は不十分ながら中学まで真面目に勉強して内申点を稼いで合格した人の中には、高校の授業についていけない者もおり、学力層は二極化しているようです。

尼崎稲園も年々、難度が上昇しています。2018年度入試では、入試問題が前年度までから一新され、より難しくなりました。140人募集するため、門戸は広いように思われますが、2017年度倍率は2.16、2018年度倍率は1.89と、高校入試としては非常に高い倍率です。GSに次ぐ難関と言えます。  緑台高校は、特色クラスを改組して総合理数コースを設置し、今年で3年目を迎えます。2016年度特色は40人募集に対し38人と定員割れしました。2017年度総合理数の倍率は1.43、2018年度は1.33です。特色入試時代よりやや易化したあと、偏差値に変化はありません。女子のほうの志望者偏差値が高く、男子は普通科よりやや良い程度です。市外に出ることを敬遠する高学力層の女子が受験していると言えます。

3.私立高校入試分析

関西学院高等部は、ここ数年、偏差値が下がっています。以前は池附に次ぐ難関校の一つでしたが、現在は、その当時に比べればかなり入学しやすくなっています。関西学院大学にエスカレータで上がることができるので、大学受験をしたくない、という人は、のびのびとした高校生活を楽しめますし、関学のネームバリューを考えるとお買い得とも言えます。

雲雀丘学園は、選抜特進コースのみを設置することになり、第2学区上位校受験者の併願先としての地位を確立しています。また、専願で雲雀を狙う人も一定数います。受験者偏差値自体は高めに出ていますが、実質倍率は1.001倍程度ですので、出願すれば、基本的には合格できます。また、公立高校にも合格した場合、特待生でないかぎり辞退する生徒が多いため、実際の在籍者の学力は見かけの偏差値よりも低くなっています。

4.五木模試による偏差値

兵庫県第2学区の公立高校および、近郊の国立・私立高校の偏差値をまとめました。

※ 受験者数最多の第6回のデータを使用しています。

※ 第一志望としている受験者の平均偏差値です。

※ 赤字は国立・私立、青字は公立推薦、黒字は公立一般

5.高校別大学入試合格実績

大教大附属池田、および、兵庫第2学区の川西近郊の高校の、過去3年分の主要大学合格実績をまとめました。

*表の見方、用語

・旧帝国大……戦前に創立された、北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大の7難関国立大学。

・超難関大……東大、京大、国公立大医学科、一橋大、東工大を超難関大と定義しました。阪大は含めていませんが、阪大の難度は他の旧帝国大よりも一橋・東工大に近く、旧帝大の中では別格です。国公立大学医学科は、東大、京大とほぼ同等で、旧帝国大・神戸大の医学科は東大以上の難度です。

・難関大……旧帝国大+一橋大+東工大+神戸大+国公立大医学科を難関大と定義しました。

・超難関大率、難関大率は「当該大学合格者数÷卒業生数」 ・私立大学は重複合格を含む。

・「順位」は「難関大合格率」を基準にしています(超難関大は、第2学区公立の場合、サンプルが少なすぎて参考にならないため)。